「なぜ放射線治療は1日で終わらないの?」

キソ知識

――この疑問、実は多くの患者さんからよく聞かれます。「毎日病院に通うのは大変だし、できれば一回で終わってほしい…」そんな気持ち、私も現場で患者さんと話していて本当によく分かります。

でも、放射線治療が何度も繰り返し行われるのには、きちんとした理由があるんです。

結論から

がん細胞をしっかり叩きつつ、周りの正常な臓器を守るためです。

がんができた臓器も、まだ正常に働いていることが多いですし、がんのすぐそばには大切な臓器や組織がたくさんあります。

放射線治療の大きなメリットは、手術のように臓器を取り除かずに、形や機能をできるだけ温存できることです。

放射線の分割照射

もし一度に大量の放射線を当ててしまうと、がん細胞だけでなく、正常な細胞や臓器も一緒に壊れてしまいます。

でも、放射線を毎日少しずつ分けて照射することで、正常な細胞はダメージを受けても回復しやすく、がん細胞は回復が苦手なので、じわじわと弱っていきます。

放射線を毎日少しずつ分けて照射することを、放射線の分割照射と言います。

イメージしやすい例え話

放射線の分割照射は、「熱いお湯」と「ぬるま湯」で例えると分かりやすいです。一度に熱湯をかけると、がん細胞も正常な細胞も一緒に大ダメージを受けてしまいます。

でも、ぬるま湯を何回かに分けてかけると、正常な細胞はその間に回復できるけれど、がん細胞は回復が遅いので、ダメージがどんどん蓄積して最終的に壊れていきます。

つまり、分割照射は「何度かに分けてぬるま湯をかけることで、がん細胞だけをじわじわ弱らせ、正常な細胞は回復させながら治療する」方法なんです。

※あくまで説明はイメージです。



まとめ

放射線治療が一度で終わらないのは、正常な臓器を守りながら、がん細胞をしっかり叩くためです。

ただし、がんの種類や状態によっては、一度で大量の放射線を当てる治療(単回照射)が選ばれることもありますので、気になることはぜひ主治医やスタッフにご相談ください。

「毎日通うのは大変だけど、ちゃんと意味があるんだ」と思っていただけたら嬉しいです。


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