「放射線治療って、何だか怖い…」「副作用で髪の毛が抜けるって本当?」
患者さんやご家族から、こんな声をよく聞きます。実は、私も医療の現場で説明するたびに「放射線って目に見えないし、イメージがつかみにくいですよね」と共感しています。
放射線治療は、たしかに分かりにくいもの。でも、実は“当てた場所だけ”にしか影響が出ない治療です。
結論から
放射線治療の副作用は、照射した部位によって異なります。
髪の毛が抜けるのは、頭に照射したときだけです。
副作用は、照射した部位によって異なるってどういうこと?
放射線治療の副作用は、全身に起きるわけではなく、放射線を当てた部位の近くにだけ生じます。
つまり、放射線が当たった場所にしか影響がないのです。
難しい言葉でいうと、放射線治療は「全身療法」ではなく「局所療法」といいます。
局所(照射した箇所)にしか、効果も副作用も出ません。
例えるなら?
例えば、体を温めるとき――
お風呂に入るのが「全身療法」、ドライヤーで一か所だけ温めるのが「局所療法」です。
ドライヤーで温めると、その部分だけが温かくなりますよね?
もしドライヤーでやけどしてしまっても、やけどするのは当てた部分だけ。
放射線治療もまさにそのイメージです。
髪の毛が抜けるイメージがあるのはなぜ?
「がん治療=髪の毛が抜ける」というイメージは、抗がん剤治療の印象が強いからかもしれません。
抗がん剤治療は「全身療法」と呼ばれ、薬を点滴や内服で体内に投与し、血流に乗せて全身に行き渡らせることで、体のどこにあるがん細胞にも作用させる治療法です。
このため、がんが転移している場合や、手術で取り切れないがんにも効果が期待できます。
全ての抗がん剤が当てはまるわけではありませんが、全身に薬が作用するため、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響が及びます。
そのため、抗がん剤治療では脱毛や吐き気などの副作用が起こることが多いのです。
一方、放射線治療は「局所療法」です。
脱毛が起きるのは、頭部(脳腫瘍など)に放射線を当てた場合だけ。
胸部や腹部の治療では、頭の髪の毛が抜けることはありません。
副作用は治らないの?
「副作用が出たら、一生治らないの?」
そんな心配もよく聞きますが、必ずしも治らないわけではありません。
放射線治療の副作用は、障害が起きる時期によって、「急性期」と「晩期」の2つに分かれます。
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急性期障害(急性期反応) とは
放射線治療中から治療終了後、数週間~1か月程度までに現れる副作用です。
症状は、照射した部位の皮膚炎(赤みやヒリヒリ感)、粘膜炎、むくみ、吐き気、下痢、白血球減少などがあります。
頭部の照射によって生じる脱毛も急性期障害のひとつで、頭部など毛のある部分に放射線を当てた場合、数週間以内にその部位の髪の毛が抜けます。
急性期障害は治療終了とともに徐々に回復することが多いです。
晩期障害(晩期反応) とは
治療終了から数か月~数年経ってから現れる副作用です。
主な症状は、皮膚や組織の硬化(線維化)、慢性炎症、潰瘍、壊死、神経障害、血管障害、白内障、などがあります。
晩期障害は一度発症すると治りにくいことが多く、長期的な経過観察が必要です。
がんが治った後に長期生存が見込める場合、特に晩期障害を起こさないように気を付けています。
まとめ
・放射線治療は「局所療法」。基本的に、照射した近くにしか効果や副作用は起きません。
・髪の毛が抜けるのは、頭部(脳腫瘍など)に照射した場合だけ。胸部や腹部の照射では脱毛はありません。
・副作用は「急性期」と「晩期」に分かれます。
・急性期障害:治療中~終了直後に現れる副作用。多くは回復します。
・晩期障害:治療終了から数か月~数年後に現れる副作用。治りにくいことがあります。
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