「放射線治療」と聞いて、不安や疑問がたくさん浮かぶのは当然です。
「どんな準備が必要?」「副作用は?」——そんな患者さんの気持ち、よくわかります。
この記事を最後まで読めば、子宮頸がんの放射線治療がどんなものか、どんな注意点があるのかがスッキリ理解でき、治療への不安が減って安心感が増すはずです。
ぜひ、治療を前に知っておきたいポイントをしっかりお伝えします。
結論
子宮頸がんの放射線治療では、毎回「蓄尿」や「排便・排ガス」の準備が大切です。
また、外部照射だけでなく、体の中から直接照射する「密封小線源治療」も重要な治療法です。
なぜ子宮頸がんなの?子宮頸がん以外って何があるの?
子宮は「子宮頸部」と「子宮体部」に分かれ、膀胱の後ろ、直腸の前にある大切な臓器です。
妊娠や出産など、女性にとって重要な役割を担っています。
放射線治療は、子宮頸がんだけでなく、子宮体がんにも適応されます。
ただし、子宮体がんは手術が第一選択となることが多いです。
子宮頸がんは、放射線治療がとても効果的ながんの一つです。
子宮頸部は体の深部にあり、膀胱や直腸など重要な臓器が近くにありますが、外部照射と密封小線源照射(後述します)を組み合わせることで、がんをしっかり狙い、周りの臓器への影響を抑えることができます。

子宮頸がんの治療で必要な準備は?
子宮は膀胱や直腸、小腸と近いため、**毎回同じ量の尿を膀胱にためる(蓄尿)**ことで、子宮の位置を安定させ、毎回同じ位置に正確に放射線を当てることができます。また、蓄尿により膀胱や小腸への線量を減らすこともできます。
蓄尿の量は「水を〇〇ml飲んで〇分後に排尿」など、具体的な指示が出ることが多いです。
これは、毎回同じ量の尿をためられないと、膀胱に押されて子宮の位置が体の中で異なり、正しい位置に放射線が照射できなくなるためです。
治療直前には超音波やCTで蓄尿の状態を確認し、さらに正確な治療ができるようにしています。治療が進むと、尿意が強くなったり、尿をためにくくなることもあります。
そんな時は無理せず、すぐにスタッフに伝えてください。
また、子宮は直腸とも近いため、直腸のガスや便も子宮の位置に影響します。そのため、排便・排ガスも治療前に指示されることがあります。
排便や排ガスも同様に、治療前にレントゲンやCTで確認します。便やガスがある場合は、排便・排ガスをお願いします。蓄尿したまま排便するのは難しいこともあるので、もしトイレで尿も一緒に出てしまった場合は、再度蓄尿が必要になることもあります。ガスがたまりやすい体質の方や、食事でガスが増える場合は、炭酸飲料や芋類を控えるなどの工夫も効果的です。

外部照射とは違う?密封小線源治療とは?
通常の放射線治療は、X線を用いて体の外から照射する方法が最も一般的です。これを「外部照射」といいます。
一方、子宮頸がんにおける放射線治療では、外部照射と密封小線源治療を組み合わせることが有効とされています。
「密封小線源治療」は、体の中に放射性物質を一時的に入れて、がんの近くから直接放射線を当てる方法です。
がんにピンポイントかつ確実に高い線量を届けられるため、外部照射と組み合わせることで、より効果的な治療が可能です。
子宮頸がんにおける副作用
治療中や治療が終わった直後に出やすいもの(急性期障害)
- 下痢や腹痛
- おしっこが近くなる、痛みが出る
- おしりやおなかの皮膚が赤くなったり、かゆくなったりする
治療が終わってからしばらくして出やすいもの(晩期障害)
- 下血(うんちに血がまじる)
- 尿に血が混じる

子宮頸がん以外の婦人科疾患の放射線治療適応
婦人科領域では、子宮頸がんや子宮体がんのほか、膣がん、外陰がんなどでも、病状や進行度に応じて放射線治療が検討されることがあります。
まとめ(箇条書き)
- 子宮頸がんの放射線治療では、蓄尿や排便・排ガスの準備が大切です。
- 外部照射と密封小線源治療を組み合わせることで、がんをしっかり狙い、副作用を抑えることができます。
- 治療中や治療後には一時的な副作用(疲労感、皮膚の赤み、頻尿など)が出ることがありますが、多くは自然に改善します。
- 子宮体がんやその他の婦人科がんでも、状況に応じて放射線治療が選択されることがあります。
不安や疑問は、担当のスタッフに相談してみてくださいね。

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