顔や首に放射線を当てる治療は、不安や怖さを感じる方が多いと思います。
私ももし自分や家族が同じ状況なら、同じ気持ちになるでしょう。
この記事を最後まで読むことで、放射線治療の流れや注意点、副作用について理解が深まり、治療に対する不安が少しでも和らぐはずです。
安心して治療に臨むためのヒントをお伝えします。
結論
頭頸部の放射線治療では、がん細胞を正確に狙いながら、周りの大切な組織への影響を最小限に抑えることが最も重要です。
治療時には患者さん専用の固定具「シェル」を使い、毎回同じ姿勢で正確に放射線を照射します。
頭頸部とは?
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、頭頸部(とうけいぶ)とは「脳と目を除いた、首から上の部分全体」を指します。具体的には、以下のような部位があります。
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鼻腔・副鼻腔:鼻の内部や周囲の空洞
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口腔:口の中全体
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咽頭:鼻や口の奥から喉の奥にかけての管状部分
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上咽頭(鼻の奥)
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中咽頭(口の奥)
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下咽頭(喉の奥、食道の手前)
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喉頭:のどぼとけのある声を出す部分
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唾液腺:唾液を作る部分(耳下腺・顎下腺・舌下腺など)
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甲状腺:首の前にあるホルモンを作る内分泌器官
治療中の注意点
頭頸部は動きやすいため、毎回同じ姿勢で放射線を当てることが必要です。
そこで、治療計画のCT撮影時に患者さん専用の「シェル」と呼ばれる固定具を作成します。
これは温めると柔らかくなり、冷えると固まるプラスチック製で、顔や首にぴったり合うように作られます。
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シェルを装着することで、治療中も正確に放射線を照射できます。
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息苦しさや閉所恐怖症の方は、シェル装着に不安を感じることもあります。
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体重変化でシェルがきつくなったりゆるくなったりすると、固定精度に影響が出るため、異変を感じたらすぐにスタッフに相談してください。
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のどや舌の近くに照射する場合は、動きを抑えるために唾を飲み込まない、舌を動かさないなどの協力も必要です。
治療計画CTに関しては下の記事を参考にして下さい。

放射線治療の副作用
放射線治療には以下のような副作用が起こることがありますが、多くは治療後に改善します。
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粘膜炎:口やのどの粘膜が炎症を起こし、痛みや腫れ、飲み込みにくさが出ます。
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皮膚炎:照射部位の皮膚が赤くなったり、かゆみや痛みが生じます。
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唾液分泌障害(口の乾き):唾液の量が減り、口や喉が乾燥しネバつきが出ることがあります。
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味覚障害:味を感じにくくなったり、変な味がすることがあります。
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嚥下障害:のどの炎症で飲み込みにくくなることがあります。
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聴力低下:耳の近くに放射線が当たる場合に起こることがあります。
頭頸部といっても、範囲が広く照射する場所によって生じる副作用が異なります。
副作用が強い場合は我慢せず、必ず医療スタッフに相談してください。
まとめ
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頭頸部の放射線治療は、がんを狙いながら正常組織を守ることが大切。
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毎回同じ姿勢を保つために「シェル」という固定具を使う。
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シェルの装着で息苦しさを感じることもあるが、異変があればすぐ相談を。
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治療中はのどや舌を動かさないなどの協力が必要な場合がある。
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副作用には粘膜炎や皮膚炎、口の乾き、味覚障害などがあり、多くは治療後に改善する。
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副作用が強いときや不安なことは、遠慮せず医療スタッフに相談しよう。
このように、放射線治療の仕組みや注意点、副作用を知ることで、治療への不安を少しでも減らし、安心して治療に臨めるようサポートします。
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