こんにちは!かばです。放射線治療にはX線、電子線、陽子線、重粒子線などさまざまな種類がありますが、その中でも、もっともよく使われているのが「X線を使った治療」です。
しかし、X線治療にも実はたくさんの照射方法があり、詳しい方法や用語は、一般の方にはあまり知られていないかもしれません。もしご家族や知り合いが放射線治療を受けた方、あるいはこれから受ける方は、病院で耳にしたことがあるかもしれませんね。
この記事では、X線治療の種類や違い、どんな工夫がされているのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。ご家族やご自身が治療を受けるとき、少しでも不安が和らげば嬉しいです。
結論
X線を使った放射線治療には、代表的なものに「三次元原体照射」「強度変調放射線治療」「定位放射線治療」などがあり、さらに必要に応じて,「画像誘導放射線治療」や「呼吸移動対策」などのといった最新技術も併用します.どの方法を選ぶかは、病気や患者さんの状態に合わせて医療スタッフが判断します。

代表的なX線治療法3つ
X線を使った放射線治療には、主に以下の3つの方法があります。
- 三次元原体照射(3DCRT)
- 強度変調放射線治療(IMRT)
- 定位放射線治療(SRT)
それぞれの特徴を、やさしくご紹介します。
三次元原体照射(3DCRT)って?
昔から行われている、もっとも標準的な治療法です。X線をいろいろな方向から当てて、がんにしっかり届くようにしつつ、周りの正常な臓器にはできるだけ影響が少なくなるよう工夫されています。
照射する方向は「門(もん)」と呼ばれ、部位によって2門~4門、多いときはそれ以上から照射することもあります。装置がぐるっと回りながら照射するタイプもあります。
強度変調放射線治療(IMRT)って?
放射線の強さを細かく調整できるのがIMRTです。がんの形に合わせて放射線の量をコントロールするので、よりピンポイントに治療でき、周りの大事な臓器への影響も減らせます。
患者さんから見ると、見た目や体感は3DCRTとあまり変わりません。ただ、照射に少しだけ時間がかかることもありますが、その分、医療スタッフが細かく準備している時間だと思ってください。
定位放射線治療(SRT)って?
少ない回数で効果的に治療できる、高精度な治療法です。脳や肺などのがんによく使われます。1回あたりの照射量が多いので、治療回数が少なくて済みます。
たとえば、通常の治療が「15分×30回」でも、SRTでは「30分×10回以内」で終わることもあります。ただし、すべてのがんに使えるわけではないので、医師が慎重に判断します。
さらに進化!『画像誘導放射線治療』と『呼吸性移動対策』とは
上記の治療法に加えて、位置のズレに対しては『画像誘導放射線治療』,呼吸による動きを補正するために『呼吸性移動対策』も使われています。
画像誘導放射線治療(IGRT)って?
IGRT(Image-Guided Radiation Therapy)は、治療の直前や治療中にレントゲン(X線)やCT(コーンビームCT)などの画像を撮影し、腫瘍や臓器の位置をリアルタイムで確認できる最先端の技術です。
IGRTの特徴は、患者さんの体内や体表面の変化(呼吸や内臓の動きによる位置ずれなど)を画像で捉え、必要に応じて照射位置を細かく調整できる点です。これにより、腫瘍により正確に放射線を照射でき、周囲の正常な組織への影響を最小限に抑えられます。
最近では、体表面の変化を赤外線カメラや特殊な光学装置でモニタリングし、照射中のずれもリアルタイムで補正するシステムや、MRIを使った方法も登場しています。これにより、被ばくの低減や、より安全で高精度な治療が可能になっています。
IGRTで使われる主な画像技術
- レントゲン(X線)
- CT(コーンビームCT)
- 赤外線カメラなど体表面情報
- MRI
IGRTは、多くの医療施設で導入されており、放射線治療の精度を大きく高める重要な技術として標準的に使用されることが多くなってきました。
呼吸性移動対策って?
肺や肝臓など、呼吸で動く臓器の治療では、その動きに合わせて照射する工夫が必要です。
- 呼吸同期照射
呼吸をモニターして、がんが特定の位置に来たときだけ照射します。「息を吐いた瞬間だけ」など、タイミングを見てピンポイントで当てます。主に肺がんなどで用います。 - 息止め照射
一時的に息を止めてもらい、その間に照射します。主に、乳がんや肺がんで用います。 - その他の工夫(上記の2つと組み合わせることが多い)
- 腹部圧迫:専用のバンドや板でお腹を軽く圧迫し、動きを抑えます
- 酸素吸入:呼吸を安定させて動きを小さくします
- メトロノーム法:リズムに合わせて一定の呼吸を続けてもらいます

まとめ
- X線治療にはいくつかの方法があり、がんの種類や場所によって選ばれます
- 3DCRTは標準的、IMRTはピンポイント、SRTは高精度・短期間治療
- 画像誘導や呼吸対応など、精密な技術が治療の正確さを支えています
- 治療方法は、医療スタッフが患者さんにとって最適なものを選んでくれます
放射線治療には、「がんにだけ届くように」というたくさんの工夫と技術が詰まっています。
「こんなに細かく考えられているんだ」と感じてもらえたら、きっと安心につながるはずです。
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